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母が持ってきた種 母が持ってきた種

母が持ってきた種

庭の片隅の鉢に、コリアンダーの種をまいていました。
子どもが生まれたとき、母が韓国へ来る際に持ってきてくれた種です。

子どもの頃からコリアンダーの入った料理が好きで、
妊娠中のつわりの時も、
冷麺やコリアンダーの料理でなんとか過ごしていました。

植物の種を飛行機で持ってくるなんて、
今思うと少し大胆なことですが、
それも母なりの愛情だったのかもしれません。

種は一年そのままにして、
翌年になってから土にまきました。
最初は元気に育っていたのに、
しばらくすると弱ってしまい、少し心配していました。

少し前に母へ電話をしてその話をすると、
「下の葉を少し摘んでみたら」と言われました。

春の雨が降り、
そのあとに明るい日差しが続いて、
ここ数日で、見違えるほどしっかり育っています。

コリアンダーが伸びていくのを見ていると、
ふと母のことを思い出します。
顔も、声も、少し恋しくなります。

昨日は、子どもが初めてひとりで立ったと
義母から聞きました。
仕事の間、子どもを預けているのですが、
その瞬間を見られなかったと思うと、
胸の奥が少しきゅっとしました。

それでも、
どうして自分がこの仕事をしているのか、
何のために続けているのかを、
もう一度静かに思い出します。

それぞれの場所で、
それぞれの役目を持ちながら、
誠実に、心を込めて向き合うこと。

今日もまた、
そんな気持ちで一日を過ごしています。

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