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初めての工場糸 Re-found yarn

工場糸がはじめての方

よくわからないまま不安を感じている方のための入り口です。

専門知識は必要ありません。
番手や混率が分からなくても大丈夫です。

ここではまず、
「なぜ工場糸は分かりにくいのか」
「分からないとき、どう判断すればいいのか」
をお伝えします。

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工場糸が分かりにくい理由

工場糸は、アパレル工場や紡績の工程で生まれた
余剰糸・未使用糸です。

そのため多くの場合、
・正確な混率が分からない
・推奨の針サイズがない
・洗濯表示がない

といった特徴があります。
これは欠点というより、工場糸という背景による性質です。

「わからない=危険」ではありません

工場糸を調べると、
「危険」「品質が不安」といった言葉を見かけることもあります。確かに、何も確認せずに使うのはおすすめできません。
ですが、
・触った感触
・燃焼テスト
・試し編み
・洗ったあとの変化

を一つずつ確認していけば、安心して使える糸もたくさんあります。

Velkommenでは、
「すべてがわかる」とは言いません。
その代わり、どこまで確認できたかを大切にしています。

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Velkommenのスタンス

私たちは工場糸を、
「安い糸」ではなく「選び方が必要な糸」だと考えています。

だからこそ、
・分かることは、分かると書く
・分からないことは、不明と書く
・判断材料をできるだけ渡す
この姿勢を大切にしています。

この先で分かること...

「はじめての工場糸」シリーズでは、次を順番に解説します。
・工場糸とは何か
・成分が分からない糸との付き合い方
・洗い方・縮絨の考え方
・引き揃え・針サイズの目安

一つずつ読んでいくうちに、
「よく分からない糸」が「自分で選べる糸」に変わっていくはずです。

 

工場糸の教科書 / ガイド

まず気になること、

・工場糸と手芸糸の違いは?

大きな違いは、糸が生まれた場所と使われ方です。工場糸は、ニット工場やアパレルの生産現場で使われることを前提に作られた糸。
一方、市販の毛糸は、最初から個人の編み物用として整えられています。糸そのものの品質に大きな差があるわけではなく、用途と流通の違いが、見た目や販売形態の違いにつながっています。

また、工場糸の多くは、製造工程の都合上、糸に油分やワックスが含まれていることがあります。そのため、編み上がり後に水通しや洗濯が必要な場合があります。ただしこれは、工場糸ならではの特徴でもあります。洗いをかけることで油分が落ち、硬く感じていた糸が、驚くほどやわらかく、ふんわりとした編み地へと変化することも少なくありません。

最初の印象と、仕上げたあとの表情。
その変化を楽しめることも、工場糸ならではの魅力のひとつです。

・どうして手芸糸に比べて良心的な価格なの?

工場糸は、大量生産された糸、企画変更や余剰によって行き場を失った糸 、シーズンや用途が限定されていた糸などがほとんどです。またその他に理由として、仕上げ工程の違いによるものです。手芸糸は、すぐに編めるよう縮絨や洗いが済んでいますが、工場糸は、製品に仕立てたあとにまとめて仕上げる前提で作られています。

価格の違いは、糸の質よりも、
そこに至るまでの過程の違いから生まれています。

・工場糸の品質は大丈夫? 古い糸や問題のある糸なの?

工場糸は、もともと製品として販売される衣類に使われることを前提に作られた糸です。使われなかった理由の多くは、「デザインの変更」「生産数の調整」「企画の終了」など、糸そのものとは関係のない事情によるものです。

長期間保管されていた糸が含まれることはありますが、適切な環境で保管されていれば、時間が経ったからといって、すぐに品質が落ちるものではありません。

Velkommenでは、編み物に安心して使える状態の糸だけを選んでいます。静かな風合いや、今では出会いにくい色味も、この糸たちの魅力です。

・工場糸は、初心者には難しい糸なの?

正直に言うと、工場糸は初心者向きの糸ではありません。

工場糸には細い糸が多く、市販の毛糸のように使い道や仕上がりがあらかじめ決まっていないことがほとんどです。Velkommenで扱っている糸も、細い糸を引き揃えて、編みやすい太さにしています。ただし、これは一本の糸として撚りをかけたものではないため、編んでいる途中で糸を割ってしまったり、一本だけが表に出てきてしまうことがあります。

こうした点が、「工場糸は初心者には難しい」と言われる理由です。それでも工場糸には、少しずつ試しながら、自分の手で糸を知っていく楽しさがあります。

完璧に編もうとしなくても大丈夫。触って、編んで、慣れていくうちに、糸との距離は自然と縮まっていきます。「失敗しにくい糸」ではなく、付き合いながら覚えていく糸。それが、工場糸の魅力です。

・工場糸のメリット、デメリット

工場糸のメリットとデメリット

【メリット】

・コーン巻きなので糸継ぎのストレスが少ない
 大きな作品も、途中で糸端に悩まされずに編み進められます。

・糸長があるため、機織りにも適している
 たっぷり使えて、作りたい分だけ思い切り使える安心感。

・好みの糸を引き揃えて、自分だけの糸を作れる
 色や素材を重ねて、“自分の手”で糸の表情を選べる楽しさがあります。

・質の良い糸を良心的な価格で試せる
 一度にいろいろな素材に触れられるのも、工場糸ならでは。

【デメリット(と言われる部分)】

・細い糸が多く、そのままでは使いにくい場合がある
 好みの太さにするために、複数本を引き揃えることも必要です。

・指定針号数がない
 一般市販毛糸と違い、作り手が“針の太さやゲージを選ぶ”ところから始まります。
 →指定のゲージを合わせるためにスワッチ編みが前提になります。

・洗い・仕上げが必要な糸もある
 編んで終わりではなく、湯通しや縮絨を通して、糸が本来の表情を見せ始めます。

【まとめ】

 工場糸は、手にした人の工夫や経験が作品に反映される糸。その自由度は魅力でもあり、
向き合い方次第で仕上がりが変わる特別な素材です。

・番手?単糸?双糸?

工場糸を選ぶときに耳にすることが多い用語を、簡単に整理しました。

[番手(ばんて)]

糸の細さを表す数字です。数字が大きいほど細く、小さいほど太い糸になります。

例)
・2/24 → 細い糸
・1/2 → 太めの糸

[ 単糸(たんし)]

糸が1本で構成された糸のこと。
軽くて素材の表情が伝わりやすいのが特徴です。
いわゆる“ロービング”の状態に近く、強く引っぱりすぎると切れやすい場合があります。

例)
1/14

[ 双糸(そうし)]

単糸を2本より合わせた糸のこと。
編地が整いやすく、扱いやすい種類です。

例)
2/14
2/14 は“14番手の糸を2本合わせた糸”という意味で、手芸糸でいう「2ply」と同じ本数構成になります。
※ ply には糸の細さ(番手)は含まれません

[ 複数本どり(◯本どり)]

単糸や双糸を複数本合わせて編む方法です。表記の分子が本数を示します。

例)
3/○(3本どり/さんぼんどり)
4/12(4本どり)
5/2(5本どり)
 本数が増えるほど糸として太くなります。

また、工場糸の複数本どりは 撚糸(ねんし)されていない糸の組み合わせが多いのも特徴です。
撚糸機は大きな設備が必要なため、一般の店舗では扱いが難しいため。

[編むときのちょっとしたコツ]

撚っていない糸は、手芸糸より構造が素直な分、
まれに
・糸が割れる
・ループが出ることがあります。
 
そんなときは、
✔ 気になる場合 → カットして整えて再開
✔ ひどくなければ → 裏側にそっと引っぱっておく

→ 仕上げの洗いで落ち着くことも多い
→ 糸処理で簡潔します

[最後に]

自身も長く工場糸でウェアを編んでいますが、伸びの強い糸や性質の特殊な糸を除けば、大きく扱いにくいと感じたことはあまりありません。

もちろん、糸によって相性や感じ方は変わると思うので、まずは少し編んでみたり、スワッチで確かめながらあなたのペースで付き合ってみてください。

使い方・編み方についての不安

・何号の針を使えばいい?

決まった正解はありませんが、まずは普段お使いの針で小さく試し編みをしてみてください。手触りや編み地の雰囲気を見ながら調整するのがおすすめです。

下記の表では、糸の長さや番手から、おおよその目安をつけていただけます。

・棒針、かぎ針、どれが向いていますか?

棒針・輪針・かぎ針、いずれもお使いいただけます。長い作品や重さが出やすいものには輪針、小さな編み地や試し編みには棒針など、作るものに合わせて選ぶのがおすすめです。

かぎ針でも編めますが、引き揃えている糸の場合は、糸を割らないよう編むときれいに仕上がります。

・引き揃えしないとダメ? そのまま1本で編める?

糸の太さによって変わります。
Velkommenで扱っている工場糸は、細い糸を複数本で引き揃え、編みやすく整えているものが多いため、基本的にはそのままお使いいただけます。

お好みに合わせて
・モヘアを添えてふんわりと
・色違いを組み合わせてニュアンスを加えて
・さらに太くして冬糸のように
 と、雰囲気や太さを自由に調整しながらお楽しみください。

もちろん、細い1本のままでも活躍します。
ドールやあみぐるみなどのミニチュア作品、ウール刺繍の素材としてもおすすめです。

工場糸の計算ガイド

・この糸100gで何メートルありますか?(番手の基本)

【重さ(g) × 番手 = メートル(m)】
で計算できます。

工場糸の「番手(Nm)」は、1gあたりのメートル数を表します。
計算例: 1/15番手の糸100gの場合 100g× 15番手= 1,500m
( 番手の数字が大きくなるほど、糸は細くなります。)

・「2/48」などの分数はどう計算すればいいですか?(双糸の計算)

【右側の数字 ÷ 左側の数字 = 1gあたりの長さ】

「/(スラッシュ)」の左側は、糸を何本撚り合わせているかを示します。
計算例:
2/26番手の場合26÷2 = 13番手(1gあたり13m)
100gなら:100g×13番手 = 1300m
( 2/26は、26番手の細い糸を2本撚っているという意味です。)

・糸を2本引き揃えて(一緒に)編む時の太さは?

【今の番手 ÷ 引き揃える本数】

同じ糸を2本、3本と合わせて使うと、糸は太くなり、1gあたりの長さは短くなります。

計算例:
1/15番手の糸を2本一緒に編む場合15÷ 2 = 7.5番手相当(1gあたり7.5mの太さになる)
異なる番手を混ぜる場合は少し複雑になりますが、まずは同じ糸の本数計算から覚えましょう。

<100g単位に変更した表>
1/15  1本 15 ÷ 1 × 100=1500m
2/15 
2本 15 ÷ 2 × 100=750m
3/15 
3本 15 ÷ 3 × 100=500m
4/15 
4本 15 ÷ 4 × 100=375m
5/15 
5本 15 ÷ 5 × 100=300m
6/15 
6本 15 ÷ 6 × 100=250m
7/15 
7本 15 ÷ 7 × 100約214m(213.8m)

2/24(=1/12)
1/12 
1本 12 ÷ 1 × 100=1200m
2/12 2
本 12 ÷ 2 × 100=600m
3/12 3
本 12 ÷ 3× 100=400m
4/12 4
本 12 ÷ 4× 100=300m

・異なる太さの糸を混ぜる「合算番手」の計算

一度「デニール(D)」に直すと、単純な足し算で計算できます。

「1/10」や「1/15」といった番手のままだと足し算ができませんが、デニールに直せば「重さ」として合計を出せます。

【3ステップ計算法】

1.それぞれの糸をデニールにする: 【 9,000÷番手 = デニール 】
2.デニールを合計する: 【 デニールA + デニールB = 合計デニール 】
3.番手に戻す: 【 9,000 ÷ 合計デニール = 合計番手 】

計算例)

1/10 と 1/15 を1本ずつ合わせる場合

<ステップ1>
デニールに変換
1/10番手 → 9,000 ÷ 10 = 900デニール
1/15番手 → 9,000 ÷ 15 = 600デニール

<ステップ2>
足し算する

900デニール + 600デニール = 1,500デニール

<ステップ3>
番手に戻す

9,000 ÷ 1,500 = 6番手

結果
約6番手(1gあたり6m)



なぜこの方が分かりやすいの?

直感的
番手(Nm)は「数字が小さいほど太い」という逆転現象がありますが、デニール(D)は「数字が大きいほど太い(重い)」ので、感覚的に理解しやすくなります。

ミスが少ない
分数の計算(逆数の和)は電卓で叩きにくいですが、この方法なら「わり算」と「たし算」だけで完結します。

応用が効く
3本、4本と混ぜる糸が増えても、デニールをどんどん足していくだけなので迷いません。

・手芸糸(中細・並太など)と比べるとどのくらいの太さ?

1gあたりの「メートル数」を基準に比較するのが一番簡単です。
お手持ちの手芸糸のラベルを見て「全長(m) ÷ 重さ(g)」を計算し、工場糸の番手と比較してください。

目安:
極細
(1gあたり6m以上):2/12、2/16、1/10など
中細(1gあたり3〜4m):2/6、2/8、3/12など
並太(1gあたり2〜2.5m):2/4、3/6、4/8など

下の表もあわせてご覧ください。

・レシピの手芸糸を工場糸で代用するには、どう計算すればいい?

「レシピ糸の番手」を出し、工場糸を「何本どりにするか」を決めます。

  1. レシピ糸の番手を出す:【全長(m) ÷ 重さ(g) = 番手(Nm)】
  2. 引き揃える本数を出す:【工場糸の番手 ÷ レシピ糸の番手 = 本数】

計算例)

1玉「120m/40g」の糸を、「1/10」の工場糸で代用したい場合
レシピ糸は:120 ÷ 40 = 3番手
本数計算:10 ÷3 = 3.33...
→ 「3本どり」に決定!

アドバイス: 計算結果に近い整数(この場合は3本)を選びます。

Q. 計算上の本数と、実際の太さが少しズレる時は?

A. 「針の号数」を調整するか、「スワッチ」を編んでゲージを確認します。

計算で「3.33...本」となったものを3本どりにする場合、元のレシピより少しだけ細くなります。

対策1:)
編み目の密度を確認するため、必ずスワッチ(試し編み)をしましょう。

対策2)
見た目が細ければ、針を1号上げることで、レシピの指定ゲージ(縦横の目数)に合う場合があります。

ひとこと: 工場糸は洗うと膨らむ(縮充)ものも多いため、一度洗ってからのゲージ確認が理想的です。

Q2. 3本どりで編む場合、工場糸は何グラム買えばいい?

A. レシピの「総メートル数」から計算します。

計算式
(総メートル数 ÷ 代用したい工場糸の番手) × 引き揃える本数 = 必要な重さ(g)

例:総メートル数600m、1/10番手を3本どりで編む場合
(600 ÷ 10) × 3 = 180g

注意点
工場糸はコーンの芯の重さ(約30〜50g)が含まれない「正味重量」で計算してください。少し余裕を持って+10%多めに買うのがコツです。

工場糸選びのコツ

  1. まずは「1gあたり何mか」に直す: 手芸糸も工場糸も、同じ土俵(1gあたりの長さ)で比べれば太さの差が一目瞭然です。
  2. 「本数」は切り捨て・切り上げで: 計算で出た本数が「2.5本」なら、細めに仕上げたいなら2本、(ふっくらさせたいなら号数を1号上げて2本でもあり。)または手がきつめの方は、同じ号数で3本を選びます。
  3. 工場糸は「油」が付いています: 編み上がりは少し硬く感じる糸もありますが、洗うと糸が広がり、手芸糸のような柔らかさが出ます。
・必要な量は何コーン買えばいい?

「重さ」ではなく「長さ」で考えるのが、工場糸選びで失敗しない唯一のルールです。
手芸糸と工場糸では1gあたりの長さ(番手)が違うため、レシピと同じ「g(グラム)」で買うと、糸が大量に余ったり、逆に足りなくなったりします。


迷わず必要数を決める「3ステップ」

1. レシピの「総メートル数」を出す
まずは、その作品を編むのに全部で何メートル必要なのかを確認します。

計算式)
1玉の長さ * 玉数 = 総メートル数

例)
120mの糸を5玉使うレシピなら 600m 必要


2.工場糸での「合計グラム数」を出す
次に、ステップ1で出した距離を、使いたい工場糸の番手で割ります。

計算式)
総メートル数 / (工場糸の番手 / 引き揃える本数) = 必要な合計g

例)
1/10番手を3本どりで編む場合(実質3.33番手)
600m / 3.33 = 約180g

3. 購入する「コーン数」を決める
ここで初めて、ショップで売られている1コーンの重さで割ります。

計算式)
合計g / 1コーンの重さ = 必要コーン数

例) 180g必要で、1コーン100gで販売されている場合
180 / 100 = 1.8 → 2コーン購入

■ 結論:覚えることはこれだけ

1.作品に必要な「合計メートル」を出す
2.それを工場糸の「1gあたりの長さ」で割る
これだけで、番手が違っても、引き揃え本数が変わっても、正確な「買うべき数」が導き出せます。

さらにもう一歩

もし計算の結果が「1.1コーン」や「1.2コーン」など、2本目に少しだけ入るような数値になった場合は、あえて「3コーン」買う選択肢もあります。

理由1) 3本どりで編む際、3つのコーンから1本ずつ引き出す方が、糸を小分けにする手間が省けて圧倒的に楽だからです。

理由2) 工場糸は一期一会の在庫も多いため、「少し足りない」となった時に同じロットの糸が手に入らないリスクを避けるためです。

・予備として「10〜15%多め」に買うには、どう計算する?

計算で出した重さに、以下の数字を掛けてください。

  • 10%多めにしたい場合: 【重さ × 1.1】
  • 15%多めにしたい場合: 【重さ × 1.15】

【計算例】

先ほどの上の計算で「180g」必要だとわかった場合

  • 10%増やすなら: 180g × 1.1 = 198g
  • 15%増やすなら: 180g × 1.15 = 207g
・迷いをゼロにする「購入前の最終チェックリスト

🧶 注文前のセルフチェック

  • [ ] レシピの「総メートル数」を確認しましたか?
  • [ ] 工場糸の番手から「必要な重さ(g)」を計算しましたか?
  • [ ] 予備の10〜15%を足しましたか?
  • [ ] 引き揃えて編む場合、必要な「コーンの数」は足りますか?
  • [ ] 完成後の「縮絨(洗い)」の準備はできていますか?

「届いた後の不安」を解消するQ&A

・届いたらまず何をすればいい?

編み始める前に、まずは10cm角ほどの小さな試し編み(スワッチ)をして、一度洗ってみてください。これを「縮絨(しゅくじゅう)」と呼びますが、固かった糸がふっくらと膨らみ、魔法のように化ける瞬間こそが工場糸の最大の醍醐味です。

特にウェアなどの大きな作品を作る場合は、このひと手間がとても重要になります。
「早く形にしたい」というはやる気持ちを少しだけこらえて、洗った後の正確なゲージ(編み目の数)を確認してあげてください。

手間はかかりますが、そうすることで完成後のサイズのズレを最小限に抑えられ、最終的には驚くほどの柔らかさと、理想通りのシルエットを手に入れることができます。
この「急がば回れ」のステップが、何年も愛用できる一着を作るための、一番の近道なのです。

・「縮充(しゅくじゅう)」って何?絶対やらないとダメ?

工場糸の「魔法の工程」です。
縮絨(しゅくじゅう)とは、編み上がった作品をぬるま湯などで洗い、糸の表面に付いている油を落として、繊維をふっくらと膨らませる仕上げ工程のことです。
工場糸(工業用糸)を使いこなす上で、最も重要で「魔法のような」プロセスと言えます。

やらないと: 目がスカスカで、肌触りも少し硬いままです。
やると: 編み目がふっくら埋まり、既製品のような高級感ある仕上がりになります。
ポイント: 縮むことを想定して、少し「ゆるめ」に編むのがコツです。

縮絨のやり方(基本のステップ)

初心者の方でも自宅で簡単に行えます。

  1. ぬるま湯を用意する
    35度くらいのぬるま湯に、中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)を溶かします。
  2. 優しく押し洗い
    作品を浸し、優しく押し洗いをします。お湯が油で濁ってくるのが分かります。
    ※ゴシゴシ擦りすぎるとフェルト化して縮みすぎるので注意してください。
  3. すすぎと脱水
    綺麗なぬるま湯ですすぎ、タオルに包んで優しく水分を取るか、洗濯機の脱水機能を短時間(1分程度)使います。
  4. 形を整えて平干し
    編み目が整うように形を整え、風通しの良い日陰で平干しします。

失敗しないための「鉄則」

工場糸で作品を作る際は、必ず以下の順序を守ってください。
「スワッチ(試し編み)を編む」→「縮絨する」→「乾いた後のゲージを測る」

工場糸は縮絨によってサイズが数パーセント縮むのが一般的です。いきなり大きな作品を編み始めるのではなく、小さなサンプルで「どれくらい縮んで、どれくらいふっくらするか」を確認するのが、プロ級の仕上がりにする最大のコツです。

・糸に「結び目」がありますが、不良品ですか?

いいえ、工業糸において結び目は避けられないもので、不良ではありません。
工業用糸は数キロという単位で長く紡がれるため、途中で糸が切れたり、原料を繋いだりする際の結び目(機結び:はたむすび)が必ず数箇所入ります。

当店では巻き返しの検品時に見つけた結び目はカットしておりますが、どうしても取り除ききれない部分が残ることもございます。大変恐縮ですが、工業用糸ならではの性質としてご理解いただけますようお願い申し上げます。

対処法)
手芸糸と同じように、結び目が編地の裏側に来るように調整して編み進めていただければと思います。

・使い切れなかったコーンはどう保管すればいい?

「湿気」と「直射日光」を避けて保管してください。
工場糸は天然素材が多く、また紡績油が付着しているため、湿気を含みすぎると匂いやカビの原因になります。保管のコツは、 ビニール袋に乾燥剤(シリカゲル)と一緒に入れ、光の当たらない涼しい場所で保管してください。直射日光は色あせの原因になります。

Slowly savouring, living lesurely

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